[迎え盆と精霊送り]

 

お盆は先祖の霊を迎えて供養し、また送り出すという行事で、正月と同じくらい重要な行事とされてきた。一般的に、お盆の入りの8月13日は迎え盆、お盆の明けの16日は送り盆で精霊送りをするが、どのようにしたらよいのだろうか。

 

■迎え盆~先祖の霊を迎える

盆棚(精霊棚)
盆棚は精霊棚(しょうりょうだな)ともいわれ、先祖の精霊を迎えるために位牌を安置し供える棚である。
8月12日の夕刻または13日の朝に作る。飾り方は地域や家庭の習慣によって異なるが、一例として紹介する。

・机などを置いて真菰(まこも)で編んだゴザを敷き、四方に笹竹を立て、縄を張って結界を作る。
・縄にはほおずきを吊るし、先祖の道を照らす提灯代わりにする。
・位牌を並べ、線香を焚き、ろうそくを灯し、キキョウ、ユリなどの盆花を飾る。
・水や、季節の野菜、果物、砂糖菓子、そうめんなどを供える。
・精霊馬(しょうりょううま。きゅうりで作った馬、なすで作った牛)を供える。


※先祖はきゅうりの馬に乗り、なすの牛に荷物を載せて、あの世とこの世を行き来するといわれている。また、来るときは馬で早く、帰るときは牛のようにゆっくりとという意味もあるという。

 

迎え火
13日は墓参りをし、寺で迎え火の火種をもらう。そして、家の門口や玄関に焙烙(ほうろく)の器を置き、

オガラと呼ばれる皮をはいだ麻の茎を折ってつみ重ね、火をつけて燃やし合掌しする。

これを迎え火といい、オガラを燃やしたその煙に乗って先祖の霊が家に戻って来るのを迎える。外から内に入るように火をまたぐと、先祖の霊を迎えたことになる。

 

また、このオガラの灰をタンスに入れておくと、着るものに困らないともいわれている。オガラは花屋やスーパーなどで手に入る。

 

■精霊送り~先祖の霊を送る

送り火
16日に送り火を焚いて、家に迎えた先祖の霊にお帰りを送る。迎え火を焚いた同じ場所で、オガラをつみ重ねて火を付け、内から外に出るように火をまたぐ。

 

また、昔は川や海のかなたにあの世があると考えられていたので、地域によっては海や川に送り火を流して精霊送りを行うところもある。わらで作った舟に供え物や飾り物を乗せた精霊舟や、たくさんの灯篭を流して精霊を送るとともに、病気や災いも一緒に流すという意味がある。

 

今でも全国各地で、精霊送りの行事が行われている。
・長崎「精霊流し」8月15日
爆竹と鐘の音が響く中、初盆の霊をのせた精霊船を極楽浄土へ送り出す。
・奈良「大文字送り火」8月15日
高円山に「大文字」の火を燃やし、戦没者の慰霊と世界平和を願う。
・京都「五山送り火」8月16日
京都を囲む五山に「大文字」「舟形」「妙法」「左大文字」「鳥居形」を型どった火を燃やし、先祖を送る。
・京都「嵐山灯篭流し」8月16日
遠くに「大文字」「鳥居形」の送り火を眺めつつ、桂川に精霊をのせた灯篭を流す。
・福井「敦賀とうろう流しと大花火大会」8月16日
気比の松原で行われるお盆の風物詩。盛大な花火とともに灯篭を海に流す。