[盆踊り]

 

盆踊りといえば夏祭りの代表格だが、太鼓や笛にのって、やぐらを囲んで輪になって踊ったり、踊りながら町中を流したり、そもそもどうしてお盆には盆踊りをするのだろうか。

 

実は、盆踊りは単なるサマー・イベントではない。その由来や楽しみ方を知っておくと、盆踊りの醍醐味が味わえる。

 

■先祖の霊との別れを惜しむ踊り

本来、盆踊りはお盆に帰ってきた先祖の霊を慰める霊鎮め(たましずめ)の行事である。 原型は、死者を供養する念仏踊り(自分で念仏を唱えながら踊る)にある。次第に念仏を唱える人と踊る人に役割が分化し、発展した踊り念仏が盂蘭盆(お盆のこと)と結びつき、精霊を慰めたり送り出すための行事になった。

 

今はお盆以外の時期に盆踊りを行うことがあるが、本来は旧暦7月15日の晩に盆踊りを行い、16日に精霊送りをするのもそのためである。

 

■月明かりさす、人々の交流の場

踊りには娯楽的な要素もある。みんなで集まって踊ることで、地域の結びつきを深めたり、また、帰省した人々の再会の場や、男女の出会いの場でもあった。盆踊りの歌詞に色恋ものやきわどい内容が多いのはそのためだ。

 

本来、盆踊りの晩(旧暦7月15日)は満月だから、照明のない時代でも明るく過ごせ、月の引力の影響で気分も高揚、子どもたちは無邪気にはしゃぎ、大人達は様々な思いを胸に踊ったのだ。 楽しいだけではなく盆踊りになぜか切なさを感じるのは、祖霊になった人々との別れを惜しむ踊りであり、人の出会いや別れとともに過ぎ行く夏を惜しむ踊りだからである。 そのためだろうか、楽しいだけではなくなぜか切なさを感じる。

 

■どうやって踊ればいいの ?

どの地方の踊りも、同じリズムの繰り返しが多く、踊っているうちに気持ちが高揚してくる。見ているだけじゃつまらない。踊ったほうが楽しいけれど、なかなか勇気が出ないもの。

そこで踊りに加わるヒントを3つ。

 

基本動作を覚えよう!
踊り手が決められている場合もあるが、基本的には誰でも参加できる。やぐらを囲んで輪になって踊る「輪踊り」と、町中を流して踊る「流し踊り」があるが、大概同じパターンの繰り返しなので、基本を覚えれば大丈夫だ。

 

見ているうちに自然と覚えられるが、故郷の祭りなら、親から子へ、祖父母から孫へ伝えたいものだ。もちろん、周囲の人達も気軽に教えてくれるし、そこから交流もうまれる。あらかじめミニ講習会をしてくれるところもあるが、少々間違ってもそんなことはご愛嬌。気にすることはない。

 

踊りのポイントは足!
ほとんどの盆踊りは、手の動きよりも足の動きを重視している。これは、足・下半身の跳躍運動が神送りの意味をもつためで、天地の間にいる人間が地を踏むという動作には、霊を封じ込める鎮魂の意味があるからだ。「踊」という字も足偏だ。ちなみに、神迎えは手を重視した「舞」になる。

 

浴衣姿で美しく!
盆踊りの振り付けは浴衣が基本なので、洋服よりも浴衣で踊ったほうが美しく映える。着ている本人も気分が出るし、見ているほうも楽しいもの。ぜひ袖を通してみよう。 躍動するリズムにのって踊る高揚感は格別だ。この盆踊りの醍醐味を、家族揃って味わってみるのも楽しい。