【*補足記事:イスラム以前のアラブ】

8,9世紀ごろ記録にとどめられたアラブ自身の民族的伝承によれば,アラブは,

(1)失われたアラブ(アラブ・アルバーイダ),

(2)真のアラブ(アラブ・アルアーリバ),

(3)アラブ化したアラブ(アラブ・アルムスターリバ)に分けられる。

 

(1)は神によって絶滅させられたとコーランに記されるアード族やサムード族をさし,(2)はカフターンを祖とする南アラブでヤマン族ともいい,(3)はアドナーンを祖とする北アラブでカイス族ともいう。のちに整えられたアラブの系譜では,カフターンは《創世記》10章25節以下のヨクタンに比定され,アドナーンはアブラハムの息子イシュマエルの子孫とされる。


この記事は、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説より引用。