【プトレマイオス(エリコ総督)】

ユダヤの指導者シモン《マカバイの乱を起こしたモデインの村の祭司マタティアの2番目の息子で、ユダヤ・ハスモン王国の創始者》によって任命された、エリコ《死海の北西部にある世界最古の町》平野の長官。シモンの娘婿だったが、エリコの支配者になろうとして、シモンと息子たちを暗殺した。ユダヤの軍がケンデバイオス《シリア王アンティオコス7世に仕えた将軍》のシリア軍を追い払った後のことである。

 

シモンは軍を息子ヨハネに任せ、国内の町を視察していた。 前134年、シモンは息子のマタティアとユダを伴ってエリコの町にやって来た。プトレマイオスはこのときすでに暗殺の計画を持っており、あらかじめ兵を忍ばせた上でシモンたちを迎えて大宴会を催した。やがて、シモンと息子たちが酔ったところを見計らって、プトレマイオスと配下の者たちが武器を取って立ち上がり、シモンと2人の息子、そのほか同行の者たちを殺害したのである。

 

その後、プトレマイオスは事の顛末を手紙に書いてシリア王アンティオコス7世に知らせ、自分をユダヤの支配者にしてくれるようにと願い出た。

 

この計画はシモンの息子の1人ヨハネが暗殺を免れていたことで失敗に終わったが、シモンの死により、マカバイの乱を起こしたマタティアの5人息子《ヨハネ、シモン、ユダ(別名マカバイ)、エレアザル、ヨナタン》の時代が終わったのである。

 

出典:

・登場人物で読む聖書の物語 筆:草野巧