【 須弥山 (メル山) 】

須弥山を描いた絵画

出典: wikipedia

 

須弥山(しゅみせん、旧字体:須彌山、サンスクリット:Sumeru)は、古代インド世界観の中で中心にそびえる山。インド神話のメール山、スメール山(su- は「善」を意味する接頭辞)の漢字音訳語。

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 ―[目次]―

1概要

2 仏教における須弥山世界観

3須弥山に例えられる物

4創作作品で登場する須弥山

5関連項目

6参考文献

 

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[概要]

古代インドの世界観の中で中心にそびえる聖なる山であり、この世界軸としての聖山はバラモン教仏教ジャイナ教ヒンドゥー教にも共有されている。 インドで形成された宗教のうち、とりわけ仏教中国や日本に、ヒンドゥー教がインドネシアなどに伝播するにともない、この世界観も伝播した。ジャワ島にはスメル山という名の山もあり、別名はマハ・メル山(偉大なるメル山を意味する)である。

 

仏教の世界観では、須弥山をとりまいて七つの金の山と鉄囲山(てっちさん=九山八海のうち一番外側にある鉄でできた山)があり、その間に八つの海がある。これを九山八海(くせんはつかい)という。「須弥」とは漢字による音訳で、意訳は「妙高」という。

 

[仏教における須弥山世界観]

倶舎論』によれば、風輪の上に水輪、その上に金輪がある。また、その最上層をなす金輪の最下面が大地の底に接する際となっており、これを金輪際(こんりんざい)という。なお、このことが俗に転じて、物事の最後の最後までを表して金輪際と言うようになった。

 

周囲の鉄囲山(てっちせん)にたたえた海水に須弥山に向かって東には半月形の毘提訶洲(びだいかしゅう videha-dvīpa、あるいは勝身洲)、南に三角形の贍部洲(南洲あるいは閻浮提)、西に満月形の牛貨洲(ごけしゅう godānīya-dvīpa)、北に方座形の倶盧洲(くるしゅう kuru-dvīpa)がある。南に位置する贍部洲(せんぶしゅう jambū-dvīpa)は我々が住んでいるインド亜大陸を示している。

 

須弥山中腹には日天と月天がまわっている。須弥山の高さは八万由旬(yojana)といわれ、中腹に四大王天がおり四洲を守る。さらにその上の山頂の忉利(とうり)天には帝釈天が住むという。須弥山の頂上に善見城がありインドラ(帝釈天)が住んでいる。須弥山には甘露の雨が降っており、それによって須弥山に住む天たちは空腹を免れる。

 

[須弥山に例えられる物]

カイラス山はチベット仏教で須弥山と同一視され、周囲の山々を菩薩に見立てた天然の曼荼羅とみな      し、聖地とする。

• 日本庭園の須弥山形式 - 中央に突出する岩を須弥山に例える石組。

 

[創作作品で登場する須弥山]

• 「PAL神犬伝説」では須弥山が登場する。

• 「聖伝-RG VEDA-」は古代インド神話を舞台にした物語で善見城も登場する。

• 『百億の昼と千億の夜』では梵天王の説明で宇宙論的展開を見せる。

 

[関連項目]

世界軸

三界

十界天台宗の場合

六道

六欲天

天部

兜率天

忉利天

四天王

シャチー

ユグドラシル

 

[参考文献]

• 定方晟 『須弥山と極楽―仏教の宇宙観』講談社〈講談社現代新書〉、1973


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