【インドラ (インドラ神)】
アイラーヴァタに乗っている 「インドラ」
インドラ(Indra、梵: इंद्र、इन्द्र)はバラモン教、ヒンドゥー教の神の名称である。省略しない名称は「サンスクリット語:śakro devānām indraḥ [注釈 1] 、パーリ語:Sakko devānaṃ indo[注釈 2] 」で「強力な神々の中の帝王」を意味する[注釈 3] 。「シャクラ(śakra)」や「サッカ(sakka)」とも呼ばれる。
デーヴァ神族に属する雷霆(らいてい)神、天候神、軍神、英雄神である。ディヤウスとプリティヴィーの息子。 特に『リグ・ヴェーダ』においては、最も中心的な神であり、ヴァルナ、ヴァーユ、ミトラなどとともにアーディティヤ神群の一柱とされる。また、『ラーマーヤナ』には天空の神として登場する。 漢訳では、因陀羅・釋提桓因・帝釈天・天帝釈・天主帝釈・天帝・天皇などと書かれ、特に仏教における帝釈天の名で知られている。
[概説]
インドラ神のルーツは古く、インド=イラン共通時代(紀元前2000年~1500年頃に発祥した古代アーリア人)までさかのぼる軍神であり、紀元前14世紀にヒッタイト とミタンニ との間で結ばれた条文の中に名前があることから、アーリア人の移動とともに小アジアやメソポタミア などでも信仰されていた神であったことが確認されている。 雷霆神(らいてい=雷神)の性格が強く、その容姿は皮膚も髪も髭も茶褐色だとされる。 ギリシア神話の ゼウス、北欧神話のトール、スラヴ神話のペルーンと比較される。 彼が戦った敵は多く、人々を苦しめる凶暴にして尊大な蛇ヴリトラ 、トヴァシュトリ神の生み出した3つの頭を持つ怪物ヴィシュヴァルーパや、ナムチ、ダーナヴァ、ヴィローチャナ、マハーバリ、メーガナーダといったアスラやラークシャサと戦った。 特にヴリトラとの戦いは、アーリヤ人と異民族の戦闘、天地開闢神話、川の塞き止めや旱魃・冬の象徴であるヴリトラを打ち破ることで大地に水の恵みをもたらす現象など、様々な意味を持つという。インドラとヴリトラの戦いは、イランの『アヴェスター』におけるスラエータオナとアジ・ダハーカとの戦いに対応しているとされる。またヴィシュヴァルーパとの戦いについて、『リグ・ヴェーダ』ではインドラはトリタ(インドラのアシスタント)に命じてヴィシュヴァルーパを殺害させている。トリタは、インドラが犯すはずの罪などを彼に代わって負う役割の神とも考えられている。
時代を経るとインドではデーヴァ(神々)の王とされ、イラン(ゾロアスター教)ではダエーワ(悪魔)とされた。
所有物:
アイラーヴァタという聖獣の白象をヴァーハナに持つ。また、7つの頭を持った空を飛ぶ馬ウッチャイヒシュラヴァスもインドラのヴァーハナとされ、その御者はマータリという。 鍛冶神トヴァシュトリの造った雷を象徴する武器「ヴァジュラ (Vajura)」を持つ。 『マハーバーラタ』では、「ヴァサヴィ・シャクティ (Vasavi Shakti)」という武器をパラシュラーマに与える。 インドラの都はアマーラヴァティーといい、その宮殿ヴァイジャヤンタはナンダナの園をはじめとするいくつかの庭を擁している。
異名:
• シャクラ (Śakra) - 王、帝王、能力者、強力な者。
• ヴリトラハン (Vṛtrahan) - 障碍(ヴリトラ)を打ち砕く者。
• デーヴェーンドラ (Devendra) - 神々の帝王。
• デーヴァラージャ (Devarāja) - 神々の王。
• ヴリシャン (Vṛṣan) - 強力な者。雄馬。雄牛。
• ヴァジュラパーニ (Vajrapāṇī) - ヴァジュラを持つ者。
• スヴァルガパティ (Svargapati) - 天界の主。
• パーカシャーサナ (Pākaśāsana) - 悪魔パーカを調伏する者。
―インドラの1概説以降詳細は、下記目次各項目を参照―
[目次]
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