【トスカーナ(トスカーナ州)】
トスカーナの位置
トスカーナ州(伊:Toscana)は、イタリア共和国中部に位置する州。州都はフィレンツェ。
イタリア・ルネッサンスの中心地となったフィレンツェをはじめ、ピサピサ、シエーナなど多くの古都を擁している。文化遺産や自然景観に恵まれ、多くの観光客が訪れる。
[地理]
位置・広がり
イタリア半島 の中西部に位置し、ティレニア海に(定義によってはリグリア海 にも)面して、おおむね三角形状の領域を持つ。ティレニア海上にあるエルバ島 など、トスカーナ群島と呼ばれる島々を管轄下に置く。州都フィレンツェは州域の北部に位置し、ボローニャ から南へ約81km、ペルージャ から北西へ約118km、ジェノヴァ から東南東へ約197km、首都ローマ から北北西へ約231kmの距離にある。
隣接する州は以下の通り。
・エミリア=ロマーニャ州 -北
・マルケ州-東
・ウンブリア州-南東
・ラツィオ州 -南
・リグーリア州-北西
地勢
北東部はアペニン山脈によって区切られている。地形は丘陵が多く、アルノ川 が盆地を形成している。
気候
気候は沿岸部では温暖である。
主要な都市
人口8万人以上のコムーネは以下の通り。人口は2011年1月1日現在。
・フィレンツェ (フィレンツェ県)-371,282人
・プラート (プラート県)-188,011人
・リヴォルノ (リヴォルノ県)-161,131人
・アレッツォ (アレッツォ県)-100,212人
・ピストイア (ピストイア県)-90,288人
・ピサ (ピサ県)-88,217人
・ルッカ(ルッカ県)-84,939人
・グロッセート(グロッセート県)-81,928人
州都はフィレンツェ 。
[歴史]
古代ローマ の進出以前はローマの基礎を築いたとされるエトルリア人 が多く住む土地で、トスカーナという名前も「エトルリア人の土地」を意味する(古代ローマ人はエトルリア人を "Tusci" と呼び、また "Etrusci" とも呼んだ)。ローマはエトルリア人を吸収し、トスカーナは本国の一部となった。
オドアケル が西ローマ帝国を滅亡させた時代の後は東ゴート王国、東ローマ帝国 、ロンゴバルド王国の支配を経た。ロンゴバルド王国がカール大帝 に征服されると、後に神聖ローマ帝国となる彼の帝国の一部となり、トスカーナ辺境伯により統治された。
都市コムーネの時代になると、ピサ (1509年まで)や、シエ-ナ(1555年まで)、フィレンツェ が台頭し、最終的にはルッカを除くトスカーナの大部分はフィレンツェ共和国(後にトスカーナ大公国)に統治された。
ルネサンス時代はレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンティといったトスカーナ人が注目を浴びた。ローマ を中心とするローマ教皇領と並び中心地の一つとなった。長くメディチ家の支配下にあったが、1737年にジャン・ガストーネ・デ・メディチ が世継ぎを残さずに死ぬとハプスブルク=ロートリンゲン家 の支配下となった。ナポレオンの時代には、1801年から1807年までエトルリア王国が成立するが、ナポレオンが敗退するとハプスブルク家の下に戻った。1860年にサルデーニャ王国に併合され、翌1861年にイタリア王国が成立するが、その後も旧トスカーナ大公家は同族であるオーストリア皇帝家の庇護の下、20世紀初頭までトスカーナの領有権を主張した。
[経済・産業]
主要な産業は農業で、ワイン、オリーブ 、小麦などを生産している。特にワインはキャンティ やスーペル・トスカーナといった名品を生産する、世界屈指の名醸地である。
[行政区画]
トスカーナ州は、以下の10県から構成される。
人口は2011年1月1日現在。面積の単位はkm²。
県名 | 綴り | 県都 | 面積 | 人口 |
---|---|---|---|---|
マッサ=カッラーラ県 | Massa-Carrara | マッサ | 1,156 | 203,901 |
ルッカ県 | Lucca | ルッカ | 1,773 | 393,795 |
ピストイア県 | Pistoia | ピストイア | 965 | 293,061 |
フィレンツェ県 | Firenze | フィレンツェ | 3,514 | 998,098 |
リヴォルノ県 | Livorno | リヴォルノ | 1,211 | 342,955 |
ピサ県 | Pisa | ピサ | 2,444 | 417,782 |
アレッツォ県 | Arezzo | アレッツォ | 3,235 | 349,651 |
シエーナ県 | Siena | シエーナ | 3,821 | 272,638 |
グロッセート県 | Grosseto | グロッセート | 4,504 | 228,157 |
プラート県 | Prato | プラート | 365 | 249,775 |
トスカーナ州と各県
[文化]
言語
2006年の 国立統計研究所(ISTAT)の統計によれば、6歳以上の住民の家庭内での会話における言語状況は以下の通り。イタリア語(Italiano)、地方言語(Dialetto)、他の言語(Altra lingua)についてのデータで、左列が全国平均、右列がトスカーナ州の数値である。標準イタリア語がトスカーナ方言をもとに創られていることもあり、「イタリア語のみ、あるいは主にイタリア語」を使用する割合がイタリアで最も高い。
家庭内の会話における使用言語 | 全国 | 州 |
---|---|---|
イタリア語のみ、あるいは主にイタリア語 |
45.5% | 83.9% |
地方言語のみ、あるいは主に地方言語 |
16.0% | 2.8% |
イタリア語と地方言語の双方 |
32.5% | 8.8% |
他の言語 |
5.1% | 4.0% |
[世界遺産]
多くの古都を擁するイタリア屈指の観光地である。州には以下のユネスコ 世界遺産がある。
・フィレンツェ歴史地区
・ピサのドゥオモ広場
・ピエンツァ市街の歴史地区
・サン・ジミニャーノ歴史地区
・シエーナ歴史地区
・ヴァル・ドルチャ
[交通]
空港
旅客機が発着する空港には以下がある。
・ピサ空港
・フィレンツェ=ペレトラ空港
・マリーナ・ディ・カンポ空港
道路
州内を走る主要な高速道路には以下がある。
・アウトストラーダ A1
・アウトストラーダ A11
・アウトストラーダ A12
・アウトストラーダ A15
[スポーツ]
サッカー
州内に本拠を置くプロサッカークラブとしては以下がある。所属リーグは2012-13シーズン現在。
・ACFフィオレンティーナ
・ACシエナ
・USグロッセト
・ASリヴォルノ・カルチョ
・エンポリFC
・ACプラート
・カッラレーゼ・カルチョ
・FCエスペリア・ヴィアレッジョ
・ピサ・カルチョ
・USポッジボンシ
・USボルゴ・ア・ブッジャーノ1920
・USポンテデーラ
・USガヴォッラーノ
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