【浮き稲】

水深が著しく深くなるような水田に適応したイネの品種群をいう。土壌に固着して生育するが,茎葉の先端部が,深く湛水(たんすい)された水面上に漂うような様相を呈するため,このような名称で呼ばれている。ふつうのイネに比べて,伸長節間数が多く,草丈は数mに達することもあり,多数の根が水中に伸長する。乾季と雨季の区別が明りょうな,インド からベトナム にかけての大河川流域の低地で栽培される。この地域では,雨季の進行に伴って,増水した河川が氾濫し,流域の水田の水位はしだいに上昇し,4~5mの水深に達することもまれでない。

 

出典:株式会社平凡社世界大百科事典 第2版 浮き稲