【リンガ】

リンガ

 

サンスクリットで〈標(しるし)〉〈シンボル〉を意味し,とくに男性の性器を指す。 これをかたどった彫像は,シバ神あるいはそのエネルギーの象徴として,今日に至るまでインドの民衆に崇拝されている。

 

インダス文明の遺跡から生殖器を表現する遺物が出土することから, その当時すでに性器崇拝が存在したと結論することは早計であるとしても, それらが後代のリンガ像の原型であるとみなすことは可能である。 豊穣多産の象徴としてのリンガの崇拝は《マハーバーラタ》などで言及されるが,シバ信仰の発展とともに顕著となり,シバの創造力を象徴する大小のリンガの彫像が多くのヒンドゥー教の寺院にまつられるようになった。

 

出典:   株式会社平凡社世界大百科事典 第2版