【白石信仰】

白石信仰は羌(チャン族)に伝えられてきた伝統的な「アニミズム」である。

 

伝説によると、かつて羌族の祖先たちがちりぢりに流浪して、現在の地に入ってきたとき、手強い戈基人(ガァチィ)に遭遇した。 羌族は夢で神の啓示をうけ、堅い棍棒と白石で戈基人と戦うように教えられていたので、そのとおりに戦って勝利することができた。

 

そのため羌族は今でも白石を神の象徴としているのである。 ただしこの伝説には地域による種々の相違がある。しかし羌族は重要な儀式をするとき、必ずこの“羌戈大戦”のことをのべ、シャーマンも神を祀ってお礼参りをするとき、必ずこの歴史を唱えるのである。

 

羌寨(チャン族の村)に入ると、どの家の屋根の上にも白石が置かれているのが見える。

 

出典:中国古代文明の源流とその成立の過程(早稲田大学長江流域文化調査隊)