【サンスクリット】

サンスクリットは、古代インド・アーリア語に属する言語。インドなど南アジアおよび東南アジアにおいて用いられた古代語。文学、哲学、学術、宗教などの分野で広く用いられた。ヒンドゥー教、仏教、シーク教、ジャイナ教の礼拝用言語でもあり、現在もその権威は大きく、母語話者は少ないが、現代インドの22の公用語の1つである。

 

サンスクリットは「完成された・洗練された(言語、雅語)」を意味する。言語であることを示すべく日本ではサンスクリット語とも呼ばれる。 漢字表記の梵語(ぼんご)は、中国や日本でのサンスクリットの異称。日本では近代以前から、般若心経など、サンスクリットの原文を漢字で翻訳したものなどを通して、梵語という言葉は使われてきた。梵語は、サンスクリットの起源を造物神ブラフマン(梵天)とするインドの伝承を基にした言葉である。

 

[歴史]

 

サンスクリットはインド・ヨーロッパ語族のインド語派に属する古代語である。 狭義には紀元前5世紀から紀元前4世紀にパーニニがその文法を規定し、その学統によって整備された古典サンスクリットのことを指す。 広義には、リグ・ヴェーダ(最古部は紀元前1500年頃)に用いられていたヴェーダ語や、あるいは、仏典に使われる仏教混交サンスクリットをも含む。ヴェーダ語の最古層は、イラン語群に属する古典語であるアヴェスター語のガーサーの言語(古アヴェスター語)と非常に近い。

 

釈迦の時代にはすでに日常の生活においてインド各地の地方口語(プラークリットと呼ばれる)が用いられるようになっていたが、その後にサンスクリットは逆に文書の公用語として普及し、宗教(ヒンドゥー教・仏教など)・学術・文学等の分野で幅広く長い期間にわたって用いられた。

 

グプタ朝ではサンスクリットを公用語とし、カーリダーサなどに代表されるサンスクリット文学が花開いた。 サンスクリットは近代インド亜大陸の諸言語にも大きな影響を与えた言語であり、ドラヴィダ語族に属する南インド諸語に対しても借用語などを通じて多大な影響を与えた。さらには東南アジアや東アジアにも影響を与えた。

 

13世紀以降のイスラム王朝支配の時代(アラビア語、ペルシア語の時代)から、大英帝国支配による英語の時代を経て、その地位は相当に低下したが、今でも知識階級において習得する人も多く、学問や宗教の場で生き続けている。

 

[音声]・[連声]・[文法]・[語彙]等を含めたサンスクリットに関する他の項目の詳細は

サンスクリット・[音声]以降」の項目を参照-


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